











【2月12日】
ドイツ三日目の朝を迎える。
前述の通り朝食はパエリアであった。
11時半から2度目の『そらそい』上映があるのだが、
それまで小一時間ほど時間があったので、僕と龍はとりあえず街に出た。
目的は一つ。髪を切ることだ。
僕も龍もつい最近まで現場にいたりなんだりで、とにかく髪が伸びていた。
「ドイツで髪を切る。それだけは決めてきたから」
初日から龍はそう言っていたのだ。
ドイツにはスキばさみがないとか、ドイツ刈りなるものが流行しているとか、
ワクワクするようなドキドキするような情報を胸に美容室を探し街を彷徨う。
途中でトランポリンと卓球台のある公園を発見してはしゃいだりもした。
そしてついに美容室を発見。
中に入り入れ墨だらけのスキンヘッドの兄ちゃんにハウマッチと聞いてみる。
11ユーロ。安い。ただ時間がない。
何分で切れるか聞くと、5minuitesと陽気に答える。
これはもういくしかないだろう。
そして出来上がったのがこの髪型である。
なんとなく無難に仕上がった僕に対し、
最初から攻めの姿勢を崩さなかった龍の後頭部は完全に刈り上がっていた。
しかも前髪はそのままだ。
結局二人で40分近くかかり、若干遅刻気味で会場へ。
龍の髪型は意外と好評だった。石井さんもいいと言っていた。
そして装いも新たに、『そらそい』上映である。
午前中ということもあり前日ほどの熱気はなかったが、まずまずの入り。
舞台挨拶では龍の髪型だけが気になった。
意外と昨日より芸能人みたいになっていて驚いた。
そのあと皆でイタリア料理を食べる。
色んなものを注文し、全員がちょっとずつ食べるというフォーメーションが既に完成しつつあった。
飛び交うお皿が礼儀作法的にどうなのかは知らないが、全員の距離がどんどん縮まっていっている印象を覚えた。もはや大家族のようだ。
その後やはり皆で現代美術館に行き、夜はジェネレーションという今回我々が参加している部門の主催するパーティがあったり、コンペに行ってとんでもない経験をしたりと午後も盛りだくさんだったのだが、盛りだくさんすぎるので今日はここまでにしようと思う。
髪型の写真だけ手に入り次第アップします。
ではまた明日。



午前中に映画祭の本部にエントリーの手続きに行く。
地下鉄を乗り継いで本会場のある駅に着くと、街は本格的に映画祭ムード一色だった。やはり世界三大は規模が違う。
全ての木々に金色の玉がついている。
なにか性的な意味があるに違いない。
外気は冷たく、しかしテンションは上がる一方で、僕は預かっていた一眼レフで本会場を激写してみた。全くうまく撮れない。
なんとなく寒々しい写真になってしまった。
地下鉄の駅で撮ったキッカはわりとうまくいったのに。
一目惚れっぽい感じで撮れたのに。
エントリーを済ませ、施設を一巡りした後、本拠地に戻って昼食。
ドイツらしい料理を、ということで、
「ロールキャベツの周りがキャベツじゃなくて牛肉のやつ」
などを食べた。ヘヴィーではあったがとてもおいしい。
僕はナイスの皆さんといる時は何故か大食いキャラとして売り出してしまったため、女子が残した食べ物が次から次へと回ってくる。
その残り物を僕が凄まじい勢いで食べることを「徳至食い」と呼び、宴会終盤の恒例行事として主に森岡龍などによって楽しまれている。
実際は見た目通り大食いでも何でもなく、打ち上げの度に残飯を食い尽くしていたのは空腹のせいというよりはむしろ「もったいない」という日本的な心に起因するところが大きかったように思う。
あとはやはりなんとなく目立ちたいのだろう。
昼食後古着屋に行ったりして、夕方からいよいよ『そらそい』上映。
会場は思った以上に広く、思った以上に赤かった。
お客さんも満員御礼。これは本当に凄いことになってきた。
リアクションもハワイ以上でさらにびっくり。
最後のダンス終了時にはなんと拍手まで巻き起こった。
映画の途中で拍手なんてことが誠にあろうとは。
その後アイアイも合流し、皆でパエリアを食べた。
でかい鍋が4、5個来て、とてもじゃないけど食いきれない。
徳至食いのゲージも昼で使い切ってしまっていた。
そして僕たちはパエリアを持ち帰った。
持ち帰って次の日の朝に食べた。
しかしそれでもタッパー3つはさすがに食べきれず、しばらく考えた後、10人部屋の真ん中にある机に「Eat Free♡」と手紙を添えて置いておくことにした。
夕方帰宅すると、机の上には既にパエリアはなく、手紙だけが裏にして置いてあった。
そこには「We love Japan」と書かれていた。
予期せぬ愛の萌芽に涙が頬を伝った。
ちなみに言っておくが、パエリアは地中海料理である。


