2008/08/08

恐怖!中学生女子

夏にふさわしく怪談をひとつ。

温泉につかり、身も心もかなりさっぱりした彼らは、
その日は3人とも特に用事もなかったので、
そのまま近所の公園でダンスの練習をすることにしたそうです。

公園では、近くの中学校の女バスと思われる集団が既におり、
部活動の練習に勤しんでいたわけですが、
邪魔にならない端っこの方で、彼らは練習を開始しました。

しばらくすると、女子中学生の方から朗らかに

「何やってるんですか?」

と質問を投げかけてきたので、彼らも笑顔で

「僕ら大学のダンスサークルで、ダンスの練習してるんですよ」

と、役柄に合わせた応答を繰り広げてみたそうです。

すると彼女達は、「ダンスならうちらもできますよ♪」

と言って、体育祭か何かで練習したと思われるロックソーラン的なものを、とびっきりの笑顔で披露してくれました。

彼らも「うわすげえ!」と、
ケータイで写真を撮りながらはしゃいで鑑賞しました。

ここまではいい感じでした。
しかしここからが悪夢の始まりでした。

まず彼女達は自分らがひとしきり踊り終わると、
「今度はあんたたち踊んなさいよ」と、
無理な要求をふっかけてきました。

踊るも何も、彼らはダンスサークルでもなければ、
踊りもついさっき練習し始めたばかりなのです。

「とりあえずすぐには無理だから、1時間練習させてもらえる?」
リュウがそう提案し、向こうもそれを承諾しました。

1時間後。
全く踊れるようになっていない3人。

「いや、無理だなこれ。 …逃げるか?」

そう言ったと同時に全速力でダッシュするリュウ。
あとを追うツバサ。
スーツケースとギターを担ぎ、必死についていくアッちゃん。

しばらく走って逃げた後、
そんな自分達がちょっと面白くて笑い合い、
何の気なしに後ろを振り返ると、
先程まで無邪気にバスケの練習をしていたあの子達が、
冗談など微塵も通用しなそうな、
鬼の形相で追いかけてくるではありませんか。

「は!?ふざけんなよ!!おめーら死ねよ!!」

汚い言葉を止めどなく排出しながら、
怒涛の猛追を展開する彼女たち。

そのあまりの真剣さに命の危険を感じた彼らは、逃げました。
必死で逃げました。
逃げて、団地の駐車場にとめてあった車の後ろに身を潜めました。

「おいどこだよ!!出て来いよ!!」

刻一刻と迫りくる鬼の包囲網。
炸裂する連携プレイ。

「いたし!!」

ついに発見され、一瞬で囲まれ、睨まれ、
その芸術的なまでのフォーメーションは、
まさに日頃の練習の賜物だなと、感心するほどでした。

「お前らマジキモいんだよ!」

「すいません」

「何逃げてんだよ!」

「すいません」

「さっき撮った写真消せよ!」

「はい、消します。はい、消しました」

「笑ってんじゃねーよ!」

「すいません」

「うちの兄ちゃん高校生だから、今から呼び出してボコしてもらうかんな!」

「すいません、勘弁して下さい」

「あ、先生だ。先生〜!この人達マジキモいんです!!」

「あのすいません!マジで勘弁してください!!!」

そんなやり取りを繰り返しつつ、何度も謝り倒し、
ようやく解放された彼ら。

アッちゃんとリュウは面白過ぎる状況に終始半笑いでしたが、
ツバサはマジ凹みだったそうです。

「あんないい子達が、あんな風になるなんて。。」

「いや凹みすぎでしょ完全に!笑」

「ていうかさ、一番キレてんのが一番ブスだったよね」

「そうっすよね!そうっすよね!笑」

モテない三人組は、こうした実践を経て、
その役柄を固めていったのでした。

俳優を目指している方は是非参考にして欲しいと思います。

ちなみにアッちゃんはその後も何度かうちに泊まりに来ましたが、
駅を出るたびに中学生を警戒しているのには笑いました。

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